市井ケンジロウの独り言

趣味で文学・音楽を創作している者です。

Mr.Children tour 2023/24 miss you-2024/1/13公演- ライブレポート(セトリ含む)

 この感動をしっかり言葉にして残しておきたいと思い、ふと思い立って書き記しています。東京国際フォーラムにて行われたMr.Children tour 2023/24 miss youの2024/1/13(土)公演に昨日行ってまいりました。

 朝は晴れていたのですが、14時過ぎに突然雷がゴロゴロと鳴り始めて一気に雨模様に。家を出るときにはあられが降っていて、東京駅に到着したときには完全に雪に変わっていました。「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」という『クリスマス・イブ』(山下達郎)のフレーズを思い浮かべながら雪のなか国際フォーラムへ向かったのですが、服が濡れて体がすっかり冷えた状態に・・・。

 で、到着して気づいたのですが、実は東京駅からは地下通路で東京国際フォーラムと繋がっていたのですね。地下通路から上がってくるお客さんたちを見て、少しショック。「俺も地下通路から来ればよかった!」と思いつつ、自販機であたたかいお茶を買って、ひとまず会場に入ったのでした。今後東京駅から東京国際フォーラムに行かれる方はぜひ地下通路を使うことをおすすめします(悪天候の日は特に)。

 開場17:30で開演18:30だったのですが、自分は18時頃に入場。今回はグッズを買わないつもりでいたのですが、少し時間があったので、見学がてらグッズ売り場をのぞいてみたところ、ライブ熱がどっと出てきて、ちゃっかりフェイスタオルと会場限定ストラップを購入してしまいました。シャツやパーカーも欲しかったのですが、以前よりお値段が上がっていて断念。パーカー13,000円に長袖シャツ5,500円・・・。いろいろなモノの値段が高騰している今日この頃ですが、ライブグッズも例外ではなかったようです。

 お手洗いを済まして、いざホールAに入ってみると、コンサートでよく目にする白いもやもや(スモーク)が非日常の空間を作り出しているのが早速目に入ってきて、ライブ前独特の緊張感と高揚感をひしひしと感じました。

 それに、改めて思ったのが、会場のスマートさです。ミスチルのライブ会場にしては本当にすばらしく小さいのです。日産スタジアムの収容人数は7万人超、東京ドームは5万人超らしいのですが、東京国際フォーラムのホールAは5,012席。これまでスタジアムツアーやドームツアーが多かったMr.Childrenですが、彼らのパフォーマンスが、ホールという近い空間の中で観られるのはファンとしてはこの上ない贅沢です。ゆえに抽選に外れた方も多かったようなので、自分は本当に運が良かったと思います。ちなみに自分がこれまで参加したことのあるホール系会場のライブは、ファンクラブ会員向けに行われた『エントランスのエントランス』の東京ガーデンシアターでの公演でした。東京ガーデンシアターの収容人数は8,000人程度ということですので、それと比較しても、今回のライブはスマートサイズだということが分かります。

 ようやく本題です。以降はセットリスト等ライブ内容のネタバレを含みますので、これからライブに行かれる方はご注意くださいませ。

 1.Birthday

 メンバーが舞台に登場し、最初に大きく鳴り響いたのは桜井さんのギターストロークでした。これが凄かった。アコースティックギターが叫んでいるのです。リズムを主体とした力強いバッキングなのですが、ギターの弦一本一本の音とその共鳴音が、すさまじい覇気を纏って、こちらにぶつかってくるようでした。ついに曲のイントロが始まり、それぞれの楽器が音をぶつけ合うように讃えるように刺激し合い始めると、会場のボルテージも一気に上昇。桜井さんのボーカルも「Mr.Childrenここにあり!」という感じの気迫に満ち満ちていて、自分はここでふと目頭が熱くなってしまいました。涙をこぼすのは抑えましたが、なんだか今日まで生きていて良かったなと、醜い世界にもこれほど自由で優しいものがあるのだなと、深い感動を覚えたのです。Birthdayはライブにぴったりの曲だと感じました。

2.青いリンゴ
 新しいアルバムから、この日最初に披露されたのは青いリンゴでした。今回のアルバム全体に言えることですが、アコースティックギターの音の輪郭がものすごくはっきりくっきりしていますよね。ライブでは、CD音源以上にそれを感じることができました。その輪郭を会場全体が感じ取ったのか、ますますお客さんの熱気が上がっていった印象です。

3.名もなき詩

 驚いたのですが、今回の公演では冒頭2曲ほとんどの方が座って聴いていました。スタジアムやドームの硬い席と違って、ホールの席って映画館の席のように座り心地が良いんですよね。自分も冒頭2曲は座っていました。今までのミスチルライブで、これは初めての経験です。でも、なんだかそれも心地いいって思えるような空気感や、それをメンバーも受け入れるような雰囲気もあって、つくづく懐の深いバンドだなと感じた次第です。ただ、この曲では、そうもいきませんよね。イントロが鳴った瞬間、みんな一斉に立ち上がりました。この曲を演奏するためにギターを始めた自分ゆえ、桜井さんのストロークに合わせて自分も小さく右手でストロークの動きをしてしまいました(もちろん、隣の方には迷惑にならないように手首だけです)。圧巻のパフォーマンスでした。

4.Fifty's map ~おとなの地図

 MCで桜井さんが言っていたのですが、この曲のタイトルは尾崎豊の「十七歳の地図」等を意識して付けたのだそうです。若い頃、何度も何度も尾崎豊の曲を聴いたということで、やはり尾崎豊の影響力は凄かったんだなとしみじみ感じました。愛や自由に対する憧れ。50代のミスチルメンバーたちは、今なお、それらを追い続けているんだなと感じた素敵な演奏でした。「窓ガラス叩き割って」の擦れた高音が印象的で、一日経った今なお、耳で鳴り響いている感じがします。

5.口がすべって

 個人的に今回のアルバム『miss you』は雰囲気的に『SUPERMARKET FANTASY』とは対極の位置にあるように感じていたので、『SUPERMARKET FANTASY』の曲がライブで演奏されたのは予想外でした。これが、ものすごく良かった。「自分以外の誰かのために願い事しよう」や「僕らは許し合う力も持って産まれているよ」のような言葉が昨今の社会情勢とリンクして心の深いところまで響いてきました。

6.常套句

 驚きました。思わず「え!」と声に出してしまうほど。本当に個人的な話なのですが、常套句を意識した世界観の曲を作って同日YouTubeに投稿したばかりだったのです。図図しくも下記にリンクを貼っておきます。勝手に運命的なものを感じて、心で叫んでしまいました。「俺の曲がどこかでどなたかのメンバーのお耳に入りますように」って。なんともひどいファンですね。桜井さんの声があまりに切なく、そして優しかったです。

オリジナル曲「君に会えるかな」(気が向いたら、ぜひ・・・)

youtu.be7.Are you sleeping well without me?

 Sunnyさんの奏でるキーボードの音が美しかったです。桜井さんの声に寄り添うように調和していて聞き惚れてしまいました。気持ちがふと落ち着くような時間に。カタルシスを感じるとは、まさにこのことだと思います。

8.LOST

 普段からこの曲を聴いて「立ち尽くしている」と歌っているのですが、ついに生演奏を聴くことができました。「真っ直ぐな想いだって」みたいな高音も心地いいんですよね。アコギのコードの音色も非常に心地よかったです。改めて思うのですが、今回のアルバムはアコースティックギターの音が印象的ですよね。個人的に昨年新しいアコースティックギターを購入したばかりのところアルバムが発売されたので、とかくアコギの音色に耳がフォーカスしてしまいました。むろんリズム隊も素晴らしく、これぞミスチルという感じの演奏でした。

9.アート=神の見えざる手

 きましたよ、ついに。順位をつけるのは野暮かもしれませんが、この日ナンバーワンのパフォーマンスでした、間違いなく。まるで一本のミュージカルを観たかのような濃密さ。桜井さんはミュージカルでも頂点をとることができるのではないかと本気で思います。自分はミュージカル好きで、観劇にも結構行くのですが、今まで見たどのパフォーマンスよりも、鬼気迫るものがありました。気圧されて言葉を失ってしまうような感覚です。この感覚、なんて説明すればいいのでしょうか。個人的な体験を思い起こせば、バチカン旅行に行った際、システィーナ礼拝堂の「最後の審判」・「天井画」(ミケランジェロ作)を見たとき、凄すぎて感情の整理がままならず、ただただ立ち尽くして口を開けてしまうといった状況になりました。心が腰を抜かしてしまったとでも言いましょうか。そのときの衝撃と似た感覚です。パフォーマンスが終わったとき、会場全体も異様な雰囲気になっていたと感じます。凄すぎて、凄すぎて・・・。桜井さん、ロックスターだけじゃなくてミュージカルスターでもあったのかい、と。今思い出してみても、感情がぐちゃぐちゃになって放心状態になりそう。まさに「神の見えざる手」が働いているのか。アート=神の見えざる手。アートって、そういうものなんですね、きっと。

10.雨の日のパレード

 前曲から一転。平穏なサウンドが会場を包み込みました。この曲、高音ファルセットと低音地声によるオクターブ違いのユニゾンとなっているのですが、今回のライブで桜井さんは低音地声で歌われていました(と自分の耳には聴こえました)。「アート=神の見えざる手」で情熱的なシャウトがたくさんあった分、ゆったりとした低音のボーカルが非常に心地よく、乱れた心が一気に鎮まっていくような感覚がありました。緻密なセトリ構成ですね。最後の光の演出も素敵でした。

Party is over

 ここで桜井さんと田原さん二人のみによる演奏でした。アコースティックギター二本の優しいセッション。カウントの「One Two...」から既に優しかった。お二人の息がぴったりで、こんな親友がいたら最高だろうな、とすごく羨ましい気分になりました。ここでも弦の音がくっきりしていて、弦移動するときの「キュッ」という、いわゆるフィンガリングノイズが素晴らしい味わいを演出して、心の微細な揺れを表現しているようでした。転調のためにお二人が各々のタイミングでカポをつける動作まで尊く、芸術を感じてしまいました。いつまでも聴いていたいような素敵な時間でした。

12.We have no time

 鈴木さんのドラムビートが小気味よく、体がノリノリになってしまいました。自然と体にリズムを刻ませるんですよね。バンド全体のグルーブを感じることができて最高でした。歌詞に韻を踏んでいる箇所が多いのも良いんですよね。『Q』収録の「十二月のセントラルパークブルース」もそうですが、こういうブルース調の曲もミスチルお手の物といった感じです。

13.ケモノミチ

 とにかく田原さんのギターの覇気が凄かった。桜井さんのボーカルの迫力も凄かったのですが、それに負けないくらい田原さんのバッキングにエネルギーが充満していました。アルバムのリード曲とあって、会場全体も思わず息をのんでいるような印象でした。もともと好きな曲でしたが、生演奏を聴いて、さらに虜になってしまいました。

14.pieces

 こういう歌モノと言いますか、ゆったりとした曲調において、自分はとりわけナカケーさんのベースの音色に聞き惚れてしまいます。桜井さんの歌に寄り添うようにベース弦を鳴らされているんですよね。そこの匙加減が絶妙で優しい。間奏でも、前面にベースラインを押し出すわけじゃなく、それでいて、美しい彩りを放ちながら奏でているように聴こえてきます。次のベースの練習曲はpiecesにしようかな、と演奏後にふと思いました。

15.放たれる

 piecesに引き続き、ゆったりとした曲が続き、観客の多くが腰を下ろして聴き入っていました。ファルセットが心地よく会場を包み込み、歌詞のとおり、心が放たれたような気分に。日常生活では、どうしたって知らぬ間に種々のしがらみにがんじがらめにされてしまったりするものですが、ライブの瞬間だけはそういう不自由から解放されて素直になれる気がします。こういう感慨を味わえるのはライブの醍醐味ですね。

16.幻聴

 イントロが鳴った瞬間、自分含め座っていた多くの観客が一斉に立ち上がりました。この曲の持つ、何か素敵な冒険が始まる感、すごいですね。誰もが主人公になってしまう魔法に突然かかる感じです。Mr.Childrenの魔法。気がつくと自分含め多くの方が桜井さんと一緒に歌っていました。会場の一体感が一段と強くなった印象です。

17.声

 言わずもがな、みんな叫んでいました。そういう曲ですからね。「おー、お」って。桜井さんと観客の声の掛け合いです。楽器隊が静まって、会場だけで歌う時に、全力で野太く叫んだファンの方がいて、メンバー含め会場全体に笑いが起こりました。最後は桜井さんのマイクなしの「おー、お」が響き、ボルテージは最高潮に。

18.Your Song

 冒頭のシャウトかっこよすぎます。前曲「声」につられて、自分もシャウトしてしまいました。周りもみんな叫んでいたので、迷惑にはなっていないと思います。つくづく爽やかで澄んだ曲ですよね。「飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて」というフレーズがやけに胸に沁みました。楽しむこと自体に後ろめたさを感じてしまうような悲しいニュースが元旦から続いていますからね。Mr.Childrenの優しさが凝縮されたようなパフォーマンスでした。

19.deja-vu

 ここで特別ゲストの小谷美紗子さんが登場しました。本アルバムでは2曲ピアノを担当されたとのこと。「短い曲ですが、長い工程と議論を経て作りました」と桜井さん。「大好きな曲です」と桜井さん自身がおっしゃったことが印象的でした。「あぁ僕なんかを見つけてくれてありがとう」というフレーズを生で聴けて感動。小谷さんのピアノも温もりに溢れていました。

20.おはよう

 「明日朝起きたときにこのライブの温もりを思い出してくれるといいなと願いながらお届けします」と桜井さん。サビでは小谷さん高音パート、桜井さん低音パートでした(と自分の耳には聴こえました)。他のミュージシャンの方の歌声をミスチルライブで聴くのは、凄く新鮮な感じがしましたね。今日起きたとき、曲を聴いて、ちゃっかり温かな音色を思い出しました。

21.優しい歌

 桜井さんのギター弾き語り。「これからもし曲が作れなくなったら、この曲と、今目の前にいる皆さんの温かい表情を思い出して、自分を鼓舞する」という趣旨のお話をされていました(うろ覚えですので、違っていたら、すみません)。ここでもギター弦の「キュッ」というフィンガリングノイズが深い味わいを醸し出していて素敵でした。弾き手が素晴らしいとギターも生き物のように響くんですよね。不思議です。途中からSunnyさんのピアノが彩りを添えていました。

22.The song of praise

 曲作りの時点でお客さんのレスポンスを考えていた、と桜井さん。「誰かを傷つける声ではなく、誰かを讃える声で歌おう」とおっしゃったのが印象的でした。ホールという近い距離でのライブだったので、よりその言葉がリアリティを持って響いてきたように思います。みんなで「おーお」と合唱し、会場の一体感が素晴らしかったです。まさにThe song of praiseでした。

23.祈り ~涙の軌道

 この日最後に演奏されたのは、「祈り ~涙の軌道」でした。「いつかまた会えることを祈ってお届け」と、桜井さん。自分はこの曲を聴いて以来「笹船」という言葉が妙に好きになって、思い入れのある一曲だったので、最後に聴けて大満足でした。桜井さんが手で笹船の形を作って歌っていたのが本当に素敵でした。またまた「笹船」が好きになってしまいました。

MC等

 順番は覚えておらず、断片的な記憶しかないのですが、印象的だったものをいくつか紹介します。

 今回なんと一部MCを田原さんが担当されていました。最近桜井さん以外のメンバーの方々もお話をされる機会が増えてきて、ファンとしては嬉しいですね。田原さんは、コロナ禍で活動ができないなか、ファンの方々から、たくさんお便りが届いて助けられたとおっしゃっていました。

 ナカケーさんの挨拶で印象的だったのが「こんばんは。本年もよろしくお願いします」と言って深くお辞儀したことでした。ロックバンドながら礼儀正しい挨拶がなんとも微笑ましく、バンドの良さをそんなところからも感じることができました。ナカケーさんの挨拶が短めだったので田原さんがおっしゃったのですが、ナカケーさんは地方公演だとご当地グルメの話をされるそうです。「東京だと自宅だもんね」と田原さんが言うと、「頂いたサツマイモがおいしかったです」とナカケーさんがお話しされていました。そこで桜井さんが「茨城産のサツマイモね」と補足すると会場に笑いが起き、とっても和やかで微笑ましいやりとりでした。

 鈴木さんは相変わらずユーモラスで剽軽で会場を盛り上げていました。掛け声の煽り等もあり、アットホームな雰囲気でした。雪の話もされていましたね。会場が屋内で、リハーサルも同会場で行なっていたので、雪の情報はウェザーニュースで知ったとのこと。観客の一人が「雪やんだ!」と叫んで、笑いが起きていました。あとは震災の話。これからは良いことしか起こらないはずと、お話されていました。

 桜井さんも震災の話をされていました。明けましておめでとうと素直に言えないような悲しいことが続いている、と悲痛な心情を語っていらっしゃいました。あとは、新年一発目のライブで最初少し固くなっていたけれど、良いスタートが切れたという趣旨のお話もされていました。

 MCはこんな感じでしょうか。何か思い出したら、追記するかもしれません。うろ覚えで、すみません。

 そう言えば、MCではないかもしれませんが、曲が終わって会場を後にする際に毎回桜井さんが言う「バイ、バーイ!」も聞くことができました。自分、これ大好きなんですよ。小学生の頃を思い出してしまうんですよね。秘密基地で遊んだあと、大声で「バイ、バーイ!」とよく叫んだものです。大人になるにつれてどんどん言わなくなっていった言葉ですが、ミスチルのライブのときだけは、桜井さんにつられて、童心に戻って叫んでしまいます。周囲の人たちも叫んでいました。まさにMr.なChildrenですよね。

 ライブレポートは以上でございます。記憶違いの箇所もあるかと思いますので、客観的に正確な記事ではないということを、ご承知おきくださいませ。明らかな間違いがあればご指摘いただければ修正いたします。何はともあれ、昨日の感動を忘れたくなくて、言葉にしてしっかり残しておきたくて、勢いで書きました。読みづらいところもあったかと思いますが、少しでも良い記事だと感じていただけたら幸いです。

 

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